Yu's Tea Room

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To enlarge education of world heritage for peace.

飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群の推薦書提出へ

奈良県は先月30日、文化庁世界遺産暫定リストに記載されている「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の推薦書素案を提出しました。

今後は、ユネスコへ出す推薦書の作成作業に取り掛かるそうで、最短で令和6年の世界遺産登録を目指すそうです。

 

 

飛鳥・藤原の宮都とは?

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さて、今回推薦書の提出がなされた「飛鳥・藤原の宮都」とは、一体どの文化遺産を指すのでしょうか。

もちろん、歴史的に重要な関連性がある遺産であることは間違いないでしょう。構成資産の内訳として、例えば、高松塚古墳キトラ古墳、藤原宮跡などで、全部で20もの数になるそうです。

 

高松塚古墳や藤原宮は、皆さんもご存知かと思います。まぁ、高松塚古墳というよりは、高松塚古墳壁画が有名ですね。

壁画を一般公開したために、観光客の息に触れてかなりの損傷をしてしまったという、悪しき出来事がありました...

藤原宮は平城京遷都する前の、藤原氏の拠点だった場所です。今は跡地のようです。写真を私も拝見しましたが、確かに更地でした。

 

遺産の「顕著な普遍的価値」は一体?

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「飛鳥・藤原の宮都」の価値として、以下のポイントの点をPRしているそうです。

  • 東アジアの文化と技術交流により、古代日本に一大変革を起こす
  • アジア諸国のうち国家形成の過程が明瞭にわかる無二の資産

 

上記の点で推薦するとして、もし世界遺産に登録されたら、評価基準(2)が適用されるでしょう。評価基準(2)は、「ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値に重要な交流を示すもの」です。"文化交流"が分かりやすい表現だと思います。

 

私個人の感想として、最短で令和6年に世界遺産登録の事実に驚きです。世界遺産自体は毎年結構なペースで増えていますが、一国スケールで見ると、いかに長い道のりか分かりますね。

 

確か、彦根城も同様に推薦していたはずなので(あとでブログ記事に書こうと思います)、世界遺産候補の一騎打ちになると思います。

 

皆さんは、どちらが好きですか?

私は、どちらも世界遺産に相応しいと思います。

 

「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の動向は、今後も目が離せません。

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大学を卒業したので、4年間を振り返る

この度、4年間通い続けた大学を卒業しました。

 

今回の記事では、当ブログの趣旨とは些か異なりますが、この4年間を通じて感じた色々を綴っていきたいと思います。

 

 

受験終わりの反動f:id:rissho-blog:20200401211727j:image

今思うと大学一年時の私は、かなりやさぐれていたと思います。

他の人から見るとそうでもなかったのかもしれませんが、私自身はそう思っています(笑)

私は大学受験のときに、人生の中で一番勉強しておりました。それは今も変わらないです。まぁ、その反動でしょうか、大学入学後の生活は、自分の思い描いたものとは異なる道を歩みました。落第した劣等コンプレックスは相当なものでした。

学部のなかに友達と言える人は誰一人いなかったですし、授業も基本的にはひとりで出席していました。友達を作ろうとはせず、孤独への道を自ら進んでいったという訳です(笑)

このやり方が、今後の大学生活の過ごし方を決定づけることになったのですが...別に後悔はしておりません。ひとりで過ごす方が気楽ですし、気使わなくていいですからね。それに、自由に自分の時間を使えるし、金を浪費することはない。

 

上記のように、入学当初は基本的にひとりで行動していましたが、孤独に感じることは無かったです。

唯一友達と呼べる存在に出会うf:id:rissho-blog:20200401211740j:image

それでも自分のなかで、友達と呼べる存在がひとりだけいました。私が所属していたサークルの友達です(便宜上G君と呼称します)。オリエンテーションのなか、G君が私に声かけてくれたことが始まりでした。

私の大学生活の中で、最も大きな出来事・きっかけのひとつに、このG君がいます。彼からは、本当に色々な影響を受けました。本当に...

  • 海外旅行
  • 筋トレ etc...

彼は相当な海外旅行好きで、私と出会った段階で、色々な国へ行ってました。元々、英語の勉強に興味があった私は、彼から聞く話にインスパイアされました。

そして、初めて海外旅行に行ったのもG君とです。この経験が、私の短期留学の経験の後押しになったのは確かです。

あと、筋トレ。筋トレ一緒に行こう、と私に提案してくれたのも彼です。お陰で、私は入学時の体重に比べて8kgの増量に成功しました。マッチョではないですが、その道しるべを示してくれたのもG君の存在があったからこそです。

 

まぁ、そんなG君なんですが、今は音信不通です。このことに関してはパーソナルな話になるので、ここでは触れませんが、今でも私は感謝しています。

 

G君と音信不通になってからは、それと入れ替りで、ゼミや授業間で沢山の友達ができて、卒業時には入学時と真逆の状況になっていました。先日も、卒業式が無くなったので、代わりにゼミで飲み会しよー!ってなったので、そちらに参加しましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。

 

ケンブリッジ大学での経験f:id:rissho-blog:20200401211253j:image

実は大学生活のなかでも、私の夢がかなった瞬間があります。それが、ケンブリッジ大学での短期留学でした。

授業中、ケンブリッジ大学Wikipediaを開き、キングスカレッジチャペルの写真を見ながら、「いつかここに訪れたい、学びたい」と思っておりました笑

そんななかで、年度末に大学でケンブリッジ大学でサマープログラムの募集が。別に母校と、ケンブリッジ大学では学術協定も何も結んでいなかったですし、初めての募集だったらしいので、本当に偶然の偶然でしたね。

もちろん、お金も凄いかかるのですが、母親に相談したら、OKしてくれて。何とかお金も工面できたので、まずは言ってみることが大切だと思いましたね。感謝。

 

この経験は私の大学生活のなかで、最も大きかったビックイベントでしたし、実際に払ったプログラム費用以上の対価を、貰ったと思っています。

 

就活、教育実習、そして院試...f:id:rissho-blog:20200401211235j:image

3年生で短期留学を経験したあとは、くるべき就活へ向けて、企業セミナーや業界研究・企業研究、ES対策講座を受講したりと、精を出していました。

結局、大学院進学ということで、これらの行動は直接的には進路と結び付かなかったですが、別に無駄だったと思っているわけではありません。

むしろ、就活楽しかったですからね。内定が貰えず、不安になっていった頃からは、楽しいという感情はなくなりましたが...

もし、私が第一志望の企業(某鉄道会社)に内定貰えていたら、大学院へ行くこともなかったでしょう。

内定はもらえたものの、「自分は、本当にこれでいいのか?」という揺らぎと、自己分析がきっかけで、院試への挑戦に結び付いた訳ですから。

 

あと話すことといえば、教育実習。先日、無事に教員免許状(中高・社会と地歴)が手元に届きました。

まぁ、教員になるつもりはないですが、教育実習でも良い経験させて頂いたと思っております。今振り返ってみると、教員免許状とるのに、めちゃくちゃ単位とらないといけないので、他の資格に比べて取得難易度が、割にあってないと思います汗

でも、教育学全般の授業は面白かったし、何より教員志望云々より学生は、教育学の授業を主体的に学ぶべきだと思います。日本の教育の現状を知れたのは、紛れもなく、教育学の授業のお陰です。

 

院試に関しては、このブログで、何かしら入試前の記事を残しているので、そちらをご参照ください。

 

ここまで、長々と書いてきましたが、私の大学生活は、どちらかというと「遊び」よりも「勉強」の4年間だったと思います。しかし、「遊び」の面でも疎かにはせず、十分に充実できていたので、つまりは最高!の大学生活でした。

小・中・高・大の学生生活で一番良かったです。色んな意味で。

 

 

...それはさておき、今日から4月になり、また新しい生活が始まりますが、次の目標は既にできているので、それに向かって頑張ります!

 

では、アデュー。

万里の長城、一部で観光再開【新型コロナウイルス】

新型コロナウイルスの影響で、世界の商業施設・観光地が閉鎖を行っている中、中国の万里の長城は24日から、一部区域から観光再開を行いました。

 

1月25日から全面区域で観光禁止が行われていたので、2か月ぶりの再開となります。万里の長城は、一部区域で観光再開したものの、紫禁城や上海ディズニーランドでは依然として閉鎖が続いています。

 

 

 開放区域は、最も人気がある「八達嶺長城

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一部観光客の受け入れを再開とのことですが、その一部とは八達嶺長城のことを指します。八達嶺は、観光客から最も人気のあるエリアで、コロナウイルスが蔓延する前の2019年6月には中国当局が、一日の観光客を制限するほどでした。

また、八達嶺は、北京から北西約70kmに位置しているそうです。

 

観光再開後も、厳しい条件が付けられる

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一部観光再開といったものの、観光するためには諸々の条件が必要なようです。

  • チケットは事前に予約が必要
  • 現地で検温の義務が課せられる
  • マスク着用必須
  • 来場者間は最低1mの距離を取らなければならない
  • そもそも入場者は、平常時の3割に規制

などなど...細かく設定はされているものの、対策一つ一つにも諸々の問題がありそうです。例えば、「お互いの距離を1m以上開ける」とかは、その間隔と統制が上手くとれるか疑問です。

 

さて、今の時期に開放とのことですが、私の感想といたしましては、観光再開は時期尚早なのではないかと思います。

というのも、今は人が来ないのではないでしょうか。日本を含め、諸外国では、中国への入国禁止・制限をしていますし、訪れるのは国内の人々に限られるでしょう。

そして、その中国国内でも一部の省ではロックダウンをしている有様。そんな状況の中で、人気観光地を訪れる人は果たしているのか、否か。

 

この記事を書いている時点で、既に観光再開していますが、客の入れ込みはどうなっているのでしょうか...気になる所です。

 

参考:CNN

www.cnn.co.jp

 

 

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「阿蘇カルデラ」を世界遺産へ 国内暫定リストへ提案

3月26日、熊本県阿蘇郡市7市町村が、世界文化遺産登録を目指し、文化庁に提案書を提出しました。

名前は阿蘇カルデラ―巨大なカルデラ火山を極限まで利用した文化的景観―」です。


 

世界遺産登録のためには、暫定リストへの登録が必須

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阿蘇の山

今回、熊本県阿蘇郡市7市町村の提案は、平成19年(2008年)以来、約12年ぶりとのことですから、一度は国内候補入りを目指していたということになりますね。

 

そのときに文化庁から登録に向けた課題を提示され、それをクリアにするために、自治体は様々な取り組みを行っていたようです。

 

ちなみにですが、世界遺産に登録されるためには、まずユネスコ世界遺産の暫定リストへ記載されていなければなりません。

暫定リストとは、何かというと...一言で表すなら「世界遺産予備軍」とでもいいましょうか。世界遺産はこの暫定リストに掲載されている物件のなかからでしか、登録は行われません。

言ってしまえば、この暫定リストに載ることが世界遺産の土俵に立てるのです。

 

阿蘇カルデラ」のOUVは?構成資産は?

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阿蘇の神社

では、今回提案が行われた「阿蘇カルデラ」の、世界遺産に認められるに相応しいOUV(Outstanding Universal Value、日本語訳は顕著な普遍的価値)は一体何なのでしょうか。

 

提案書を見てみますと、構成資産は中央火口丘やカルデラ、草地、湧水、豊後街道阿蘇神社などのようです。目玉は、やはりカルデラでしょうか。そこの地域に住む人々の営みや祭りなど、文化的側面も強調しています。

 

上記の観点から、文化遺産のなかでも文化的景観での提案なのでしょう。阿蘇カルデラ」に近い事例として「富士山」があります。こちらも、文化的景観としての登録で、富士山を中心として営まれる、人々の信仰をポイントに汲みこんでいました。

 

個人的な所感としては、提案した名前は、変更の余地があるかもしれません。というのも、世界遺産を審査する側としては、登録名はわかりやすいもののほうが好まれる傾向にあります。

今は「阿蘇カルデラ―巨大なカルデラ火山を極限まで利用した文化的景観―」という名前ですが、これは外国人からみると、少し趣旨が伝わりにくい感があるかもしれまん。

 

何はともあれ、今後も目が離せませんね。詳しく知りたい方は下記リンクからご覧ください。

www.pref.kumamoto.jp

 

参考:熊本県熊本日日新聞

 

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コロナウイルスによって世界遺産委員会延期へ

先日、コロナウイルスによって、東京オリンピックの延期が決定したことは皆さんご存知かと思います。

 

オリンピック延期によって6700億円の損失らしいですが、中止すると兆単位の損失だったらしいので、まだ軽微なほうですね...

 

私も国民の一人として、東京オリンピックが翌年、無事に開催されることを願っております。

 

国内のイベントは現在自粛を行っておりますが、それは世界も同様です。

そして遂に、6月に中国で開催される予定だった世界遺産委員会の延期が決まりました。

 

夏期に開催予定だったオリンピックが延期になるんですから、世界遺産委員会が延期になるのも納得ですよね。

 

そもそも世界遺産委員会とは

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世界遺産委員会は、一言でいうと世界遺産に関わるあらゆる決定事を行う」ところです。年一回の開催で、開催場所は毎年異なります。

 

世界遺産委員会で一番重要なことは、推薦遺産の正式な登録の可否です。言い換えると、世界遺産委員会の場で、推薦された遺産が世界遺産に認められるか否かが決まるのです。

 

ただ、世界遺産委員会が開催される前に、UNESCOの諮問機関(イコモスまたはIUCN)が、事前に推薦遺産が「顕著な普遍的価値」を有しているかどうかチェックします。

 

この段階でOKサインが出れば、世界遺産委員会では、ほぼほぼ登録が認められます。

 

でもやはり、世界遺産委員会の場で、正式に世界遺産の登録が行われるので、外すことのできない重要なプロセスなのです。

 

世界遺産委員会では他にも、モニタリングの報告や危機遺産の選定・状況報告など、重要な活動が行われます。

 

rissho-blog.hatenablog.com

 延期によって発生する問題は?

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今回日本は、今年の世界遺産委員会で「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」を推薦していました。当然ですが、自然遺産での推薦です。

 

しかし、今回の延期によって必然的に登録の審査は見送られることになるでしょう。

 

奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は長年推薦を繰り返していましたが、登録が認められず、今回は3度目の正直ではありませんが、そういう心持だったでしょう...

 

 確か上記の遺産は、真に世界遺産登録のためではないですが、固有種を捕食する野良猫への対策も行っておりました。


そのような自治体の努力が報われるのは、まだ先になりそうです。


タージ・マハルの危機...インドが抱えるゴミ問題


世界遺産の裏はゴミだらけ…海を汚染するプラスチックをどう食い止めるか、その最前線を取材

 

誰もが知るインドの世界遺産、タージ・マハル。

ある人は観光のために、ある人はお祈りをするために、毎日多くの人が訪れていますが、その裏でとある問題が深刻化しているのです。

 

汚染させる河川。原因は「ゴミ」!?

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現在問題となっているのは、川に散乱しているゴミです。

その種類も様々で、工業用から家庭のものまで。無意識に捨てていったゴミが堆積していき、目に余るほどの状況まで陥ってしまいました。

 

そして、注目すべきポイントが、このゴミの数々は、市民のポイ捨て・不法投棄によって発生しているということです。

市民のゴミに対する意識の欠如が、ここまで問題を大きくしてしまった原因であることは間違いないでしょう。個人的に感じることは、やはりインドの人口ですね。

 

インドの人口はあの中国に次いで多く、2027年には世界一位になると推測されているほどです。そして、タージ・マハルの所在地、古都アーグラはインドの首都ニューデリーの近く。加えて、インド随一の観光地なので、発生するゴミの量は測りきれないでしょう。

 

そして汚染対策へ、インド政府の対応とは。

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ゴミ問題についてはインド政府も認識しており、インドのナレンドラ・モディ首相は数年後に使い捨てプラスチックゴミの全廃を打ち出しています。が、これは現実的に厳しいでしょう。

 

現在、ゴミ問題への対応策として講じられているのが、発生源の特定です。具体的には、ゴミが多く流入する場所を特定し、その場所からゴミが出ないようにするという方法です。では、どう特定するのか。

 

発生源を特定する方法として、地形データを活用し、プラスチックゴミが溜まりやすい場所の調査が行われています。(通称「ホットスポット」調査)


学問を研究する身分としては、こうした地理学や技術などが社会に還元されるのは、非常に喜ばしいことです。


私の考えとしては、「ホットスポット」調査も良いのですが、市民の意識改革も重要ではないかと思います。


やはり、真の発生源はゴミを投棄する人々の考え方にあります。シンガポールなどは、リターしたら罰金が課せられますが、そうした政策も有効ではないかと(批判が凄そうですが汗)。


他に有効なのは、やはり教育ですね。こうしたゴミ問題に対しても「世界遺産」という媒体は、良い教育材料でしょう。なぜなら、「世界遺産」は観光の側面をバリバリに帯びているのですから。

 

 何はともあれ、古都アーグラの風情が損なわれないためにも、河川を綺麗にすることが、最重要課題ですね。

綺麗になったそのときには、私も是非訪れたいですね。


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【世界遺産検定の落とし穴】欠点・問題点を洗いざらい話します

近年、世界遺産ブームは目覚ましいものがあります。

 

今回のテーマである世界遺産検定(NPO法人世界遺産アカデミー主催の民間試験)は年々受験者数を伸ばし、多くの芸能人も受験しているのは、皆さんも周知の通りでしょう。

 

JTBを筆頭とした旅行代理店などは、就職試験において世界遺産検定所持者を優遇する措置もとっています。

 

事実、私も世界遺産検定を受験し、その資格を保有するひとりですし、本記事は検定そのものを否定する趣旨では決してございません。そこをご留意ください。

それを踏まえたうえで、世界遺産検定のあらゆる問題点を、私の観点から指摘していきたいと思います。

 

試験内容は公式テキストのなかから出ている

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まず、挙げられるのが、試験内容は時事問題を除いて、公式テキストのなかから全て出ているという点です。乱暴な言い方をすると、自作自演ですね。

例えば、英検は日本英語検定協会が主催ておりますが、彼等からは公式テキストを発売しておりません。英検対策本を出しているのは旺文社など、色々な会社が出しています。一方で、TOEICを運営しているETSや、世界遺産検定を運営しているNPO法人世界遺産アカデミーは公式テストを発売しています。

なぜか?それは、単純にお金になるからです。あくまで、検定を行う側も利益を追求しています。ビジネスなんです。実際、公式テキストなるものは「公式」というお墨付きがあるため、よく売れます。世界遺産検定も現状、対策本は公式テキストしかありません。

また、世界遺産検定は問題形式が、全て4択(最上位のマイスター試験は記述式だが、受験するものはほとんどいない)。資格試験としての難易度は、かなり易しい部類に入るでしょう。

4択形式なので、知識があやふやでも、「何となく」で正解できてしまうときがあります。仮に、このような状態で合格して、果たしてこれで「教養が身についた」といえるでしょうか。

 

公式テキストは殆どユネスコ公式サイトからの抜粋

先に説明した通り、世界遺産検定では、公式テキストで勉強するのが常道です。しかし、その公式テキストは、ユネスコ公式サイトから文章を抜粋し、並び替えただけのものです。

 

私は当初、世界遺産アカデミーが登録遺産について調べ、オリジナルで文章を考えたものだと思っていました。私はある日、世界遺産検定を勉強している最中、ユネスコの登録遺産の紹介ページを読むと...

 

私「(ユネスコのページを見て)ん?」

  (公式テキストを読む)

 「(もう一度ユネスコのページを見る)...」

 「これ(文章の)順番変えただけだーーーー!!!」

 

 

因みに、世界遺産検定1級の公式テキストは、上下巻合わせて6,000円はします。6,000円の代物を販売するのですから、テキスト製作側は、もっと真面目に仕事してもらいたいです...

 

公式テキストの赤字、太字の理由(基準)が不明

世界遺産検定では、公式テキストで赤字・太字で示されているところに関連して問題が出ます。ですので、受験者は赤字・太字を暗記するように、勉強していくわけですが。

どうにも、文章中の赤字・太字になっている箇所の理由(基準)がわかりません。掲載欄が小さい世界遺産に関しては、赤字・太字にする用語を適当に選んでいるようにしか思えません。

 

誤った内容を載せてしまっている("公式"がやらかしている)

個人的には、これが一番まずいと思っています。検定を実施する側が、間違った知識を受験者に教え込んでいるんですからね(^^;)

この事実を知った瞬間、私の中で、世界遺産検定に対する信憑性は格段に落ちました。

この件に関しては、アマゾンのレビューで指摘されているところです。

レビューが正しいのか、運営が正しいのか、真偽は不明ですが、一度見てみてほしいと思います。下のリンクからです。

すべてがわかる世界遺産大事典<下> 世界遺産検定1級公式テキスト

すべてがわかる世界遺産大事典<下> 世界遺産検定1級公式テキスト

 
すべてがわかる世界遺産大事典<上> 世界遺産検定1級公式テキスト

すべてがわかる世界遺産大事典<上> 世界遺産検定1級公式テキスト

 

 

それでも世界遺産検定の勉強をする価値はある

ここまで、世界遺産検定の欠点・問題点を指摘してきましたが、それでも私は検定そのものに価値がないとは一切思っておりません。

なぜなら現状、多くの人が世界遺産の勉強を始めるきっかけとなるのが、この世界遺産検定だからです。

 

世界遺産検定に挑戦することによって、表面上ではありますが、世界遺産の基礎を学べることは確かですし、真面目に勉強すれば、「何となく」の知識ではなく、「使える」知識を学べるに違いありません。そこから、学術書を読んだりして、造詣を深めていって欲しいと思います。

 

最近1級テキストの第2版出ました。