3月26日、熊本県と阿蘇郡市7市町村が、世界文化遺産登録を目指し、文化庁に提案書を提出しました。
名前は「阿蘇カルデラ―巨大なカルデラ火山を極限まで利用した文化的景観―」です。
世界遺産登録のためには、暫定リストへの登録が必須
今回、熊本県と阿蘇郡市7市町村の提案は、平成19年(2008年)以来、約12年ぶりとのことですから、一度は国内候補入りを目指していたということになりますね。
そのときに文化庁から登録に向けた課題を提示され、それをクリアにするために、自治体は様々な取り組みを行っていたようです。
ちなみにですが、世界遺産に登録されるためには、まずユネスコの世界遺産の暫定リストへ記載されていなければなりません。
暫定リストとは、何かというと...一言で表すなら「世界遺産予備軍」とでもいいましょうか。世界遺産はこの暫定リストに掲載されている物件のなかからでしか、登録は行われません。
言ってしまえば、この暫定リストに載ることが世界遺産の土俵に立てるのです。
「阿蘇カルデラ」のOUVは?構成資産は?
では、今回提案が行われた「阿蘇カルデラ」の、世界遺産に認められるに相応しいOUV(Outstanding Universal Value、日本語訳は顕著な普遍的価値)は一体何なのでしょうか。
提案書を見てみますと、構成資産は中央火口丘やカルデラ、草地、湧水、豊後街道、阿蘇神社などのようです。目玉は、やはりカルデラでしょうか。そこの地域に住む人々の営みや祭りなど、文化的側面も強調しています。
上記の観点から、文化遺産のなかでも文化的景観での提案なのでしょう。「阿蘇カルデラ」に近い事例として「富士山」があります。こちらも、文化的景観としての登録で、富士山を中心として営まれる、人々の信仰をポイントに汲みこんでいました。
個人的な所感としては、提案した名前は、変更の余地があるかもしれません。というのも、世界遺産を審査する側としては、登録名はわかりやすいもののほうが好まれる傾向にあります。
今は「阿蘇カルデラ―巨大なカルデラ火山を極限まで利用した文化的景観―」という名前ですが、これは外国人からみると、少し趣旨が伝わりにくい感があるかもしれまん。
何はともあれ、今後も目が離せませんね。詳しく知りたい方は下記リンクからご覧ください。