近年、世界遺産ブームは目覚ましいものがあります。
今回のテーマである世界遺産検定(NPO法人世界遺産アカデミー主催の民間試験)は年々受験者数を伸ばし、多くの芸能人も受験しているのは、皆さんも周知の通りでしょう。
JTBを筆頭とした旅行代理店などは、就職試験において世界遺産検定所持者を優遇する措置もとっています。
事実、私も世界遺産検定を受験し、その資格を保有するひとりですし、本記事は検定そのものを否定する趣旨では決してございません。そこをご留意ください。
それを踏まえたうえで、世界遺産検定のあらゆる問題点を、私の観点から指摘していきたいと思います。
試験内容は公式テキストのなかから出ている
まず、挙げられるのが、試験内容は時事問題を除いて、公式テキストのなかから全て出ているという点です。乱暴な言い方をすると、自作自演ですね。
例えば、英検は日本英語検定協会が主催ておりますが、彼等からは公式テキストを発売しておりません。英検対策本を出しているのは旺文社など、色々な会社が出しています。一方で、TOEICを運営しているETSや、世界遺産検定を運営しているNPO法人世界遺産アカデミーは公式テストを発売しています。
なぜか?それは、単純にお金になるからです。あくまで、検定を行う側も利益を追求しています。ビジネスなんです。実際、公式テキストなるものは「公式」というお墨付きがあるため、よく売れます。世界遺産検定も現状、対策本は公式テキストしかありません。
また、世界遺産検定は問題形式が、全て4択(最上位のマイスター試験は記述式だが、受験するものはほとんどいない)。資格試験としての難易度は、かなり易しい部類に入るでしょう。
4択形式なので、知識があやふやでも、「何となく」で正解できてしまうときがあります。仮に、このような状態で合格して、果たしてこれで「教養が身についた」といえるでしょうか。
公式テキストは殆どユネスコ公式サイトからの抜粋
先に説明した通り、世界遺産検定では、公式テキストで勉強するのが常道です。しかし、その公式テキストは、ユネスコ公式サイトから文章を抜粋し、並び替えただけのものです。
私は当初、世界遺産アカデミーが登録遺産について調べ、オリジナルで文章を考えたものだと思っていました。私はある日、世界遺産検定を勉強している最中、ユネスコの登録遺産の紹介ページを読むと...
私「(ユネスコのページを見て)ん?」
(公式テキストを読む)
「(もう一度ユネスコのページを見る)...」
「これ(文章の)順番変えただけだーーーー!!!」
因みに、世界遺産検定1級の公式テキストは、上下巻合わせて6,000円はします。6,000円の代物を販売するのですから、テキスト製作側は、もっと真面目に仕事してもらいたいです...
公式テキストの赤字、太字の理由(基準)が不明
世界遺産検定では、公式テキストで赤字・太字で示されているところに関連して問題が出ます。ですので、受験者は赤字・太字を暗記するように、勉強していくわけですが。
どうにも、文章中の赤字・太字になっている箇所の理由(基準)がわかりません。掲載欄が小さい世界遺産に関しては、赤字・太字にする用語を適当に選んでいるようにしか思えません。
誤った内容を載せてしまっている("公式"がやらかしている)
個人的には、これが一番まずいと思っています。検定を実施する側が、間違った知識を受験者に教え込んでいるんですからね(^^;)
この事実を知った瞬間、私の中で、世界遺産検定に対する信憑性は格段に落ちました。
この件に関しては、アマゾンのレビューで指摘されているところです。
レビューが正しいのか、運営が正しいのか、真偽は不明ですが、一度見てみてほしいと思います。下のリンクからです。
それでも世界遺産検定の勉強をする価値はある
ここまで、世界遺産検定の欠点・問題点を指摘してきましたが、それでも私は検定そのものに価値がないとは一切思っておりません。
なぜなら現状、多くの人が世界遺産の勉強を始めるきっかけとなるのが、この世界遺産検定だからです。
世界遺産検定に挑戦することによって、表面上ではありますが、世界遺産の基礎を学べることは確かですし、真面目に勉強すれば、「何となく」の知識ではなく、「使える」知識を学べるに違いありません。そこから、学術書を読んだりして、造詣を深めていって欲しいと思います。
最近1級テキストの第2版出ました。