アフガニスタン・タリバンによるバーミヤンの仏像破壊
・文化財の闇取引も存在する。
・浮上する大仏再建論。
最近の世界遺産は...
・近年は「条件付き」で登録されるケースが多い。
→これは、膨張し続けている登録件数に対する、審査の厳格化が反映されている。
・奈良文書が採択されても、価値観の違いはまだまだ根深い(宗像・沖ノ島で後述)
・イコモスの「一発勝負」の評価に不満を持つ、(行政等に従事する)人々も多く、イコモス側もそれを自覚している。
そのため、最近は関係締約国との意見交換を実施する「対話」や「中間報告」といったやり方も行われている(しかし、実際の効果は未だに未知数)
「世界遺産」に熱い日本
・暫定リスト記載物件を募った公募が契機と思われる。
しかし...
これが自治体の競争意識を生む引き金になる(後述)
・遺産の乱立がインフレを引き起こし、価値や位置づけを曖昧にする。
公募制の限界
・自治体間で明暗が分かれる非情な世界。
→例えば、シリアル・ノミネーションで登録を目指したが、委員会から除外の「条件付き」が出た場合等。
※シリアル・ノミネーションのストーリー付けは、どこかで線引きが必要で、そこで外された自治体はやり切れない。
また、トランスバウンダリー・サイトに関して、日本から外国へ登録を呼びかける体制がない(外務省を跨ぐ必要性があるため、つまり縦割りの障害)
・IUCNはイコモスに比べて、財政基盤があり、真摯な評価が担保されている。
宗像・沖ノ島の評価
・登録に際して、本体以外を構成遺産から外せと勧告を受ける。
→つまり、宗像神の三姉妹の分断を表す。
これは、切っても切り離せない関係にあるが....
・近年は審査が厳格化し、無形要素を考慮しなければ、遺産の本質を理解できない例が増えている。
・異文化バックグラウンドの多様性の理解がこれから益々重要になる。
最近の世界遺産の問題点
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登録件数
遺産の価値が問題視されているが、その他にも、多くなればなるほど、保全資金の確保が難しくなるという側面もある。
- 地域性
地域の推薦遺産になればなるほど、専門家の数が少なくなり、評価が難しくなる。
- 開発と利便性
利便をとるか、世界遺産をとるか。これに関しては、抹消された世界遺産が2件あるので、それを参照してください。
- 地域偏重
グローバル・ストラテジーや奈良文書は土や木の文化を認め、柔軟な姿勢を促すメリットもあったが、これらは政治的な思惑もあったことを忘れてはいけない。
→つまり、南米やアジア、アフリカへの登録を勧める事につながる。これは国内保護制度が整備されていない国もあるかもしれないのに、遺産の乱発をしてしまう恐れがあった。
文化的景観とシリアル・ノミネーション
・非常に便利な概念なだけに、(言い方は悪いが)理屈が良ければまかり通ってしまう危険性がある。
・シリアル・ノミネーションは、個々の資産の特性と地域性が希薄になる。さらに、登録に当たって、自治体などの政治的恣意に左右される場合もある。
危機遺産リストへの忌避
・危機遺産リストに登録されることが一国の恥だと思われている節がある。
・ジョージアのバグラディ大聖堂とゲラディ大聖堂は危機遺産リストに登録されていたが、片方の遺産(バグラディ大聖堂)を構成遺産から除外することによって危機遺産リストから脱した。
...果たしてこのような方法で良いのであろうか?
もし、下手な「修復」が施されたりした場合は...
そもそも、危機遺産リストに登録された理由が好ましくない「修復方法」を行っていたかららしく、なぜそのような体制がとられていたかに疑問が残る。
産業革命遺産
・日韓の政治争いが繰り広げられた悪い例。
・登録に向けての推進体制は前例にないもので、外部の専門家を招かれた。
(上記のメリット)不慣れな分野を知見が豊富な専門家が携われること。
(上記のデメリット)外国人に主導権を握られる可能性がある。
・世界遺産条約は国際条約なので、政治的介入は避けられない場合がある。しかし、政治課題を第三国を巻き込んで、醜態を晒すことは許されない。
...今日はこの辺にします。次回で〆まーす。
紹介した本はこちらです