現時点で私が考える適切だと考える登録資産数は2,000件までである。
というよりは、1,000件以上を超えているからといって、これ以上増やすべきではないという意見は時期尚早に考えているからである。
世界遺産の希少性、観光的側面から見たブランド面から場合、世界遺産の登録件数が増え続けることは好ましくない。
しかし、世界遺産条約を振り返ると、世界遺産の登録件数には当初から上限を設けていなかったはずだ。
重要なのは、「顕著な普遍的価値」を有する人類の宝を、人類全員で守っていくことが根本にある。
そこに政治的思惑が介入する隙はない。
まだ世界には、世界遺産に登録されていないが、潜在的に「顕著な普遍的価値」を満たしている文化遺産や自然遺産が眠っている。
それを登録件数の増大から、全て切ってしまうようでは、本末転倒である。
しかし、だからといって溢れかえる世界遺産の数を放置していることは良くない。
増え続ければ、増え続けるほど世界のどこにでもある存在になってしまい、それはもう「世界遺産」の名に相応しいか疑問に陥ってしまう。
そこで私が提案する案は、登録プロセスのさらなる厳格化である。
今現在では、グローバル・ストラテジーによる取り組みや推薦数の制限によって、抑制しているが、それでも毎年世界遺産数の数が30件ほど登録されている。
この状況から鑑みるに、私は世界遺産の審議や諮問機関によるチェックの更なる厳格化によって、本当に「世界遺産に相応しいかどうか」を精査すること、つまりは登録プロセスのクオリティを上げることが、一番の対策だと考えている。
勿論、今問題起きている「逆転登録」の現象は例外中の例外に留めるようにしなkればならない。
現在、暫定リストの段階から「事前評価」の導入や、対話の実施など率先的な改革がなされている。
その効果が判明するのは、何年後かになる。だからこそ、今は様子見の気持ちで、登録数2,000件が妥協のラインとして構えるべきと考えている。