世界遺産条約以外の国際的な「遺産」ブランドの広がり
自然遺産なら、ユネスコエコパーク・世界ジオパークネットワーク、世界重要農業生産システムなど...
上記の制度は、それぞれ相互に補完している一部に過ぎないが、世界遺産のみが全てのブランドの受け皿になっているよう思える。
※保存は保護の下位概念
文化的景観の概念の変化
文化的景観は世界遺産が生まれてから、既に早い段階で構想が練られていた。
一応、文化的景観は文化遺産のカテゴリーに分類されるが、今現在では世界遺産のアプローチになっていると筆者。
文化遺産の概念は点(昔)から面(今)に変化しており、地域そのものが保護の対象になったりしている。
先進国では、そういった地域そのものを保護する政策も作られている。(因みに、日本も「歴史文化構想」とこれに準ずる政策が存在する)
このように、文化的景観は遺産の次世代概念として広まっている。(しかし、あまりに流布しすぎて様々な意味合いが混同しつつあるのが現状で、改めて再確認が必要だ)
余談だが、文化的景観の成功を受けて、歴史的都市景観というものも生まれている。
世界遺産条約の課題
・世界遺産の審査は、「価値」と「保護のレベル」の両面から、判断されるものだが、世界遺産のブランドのみを求めている人々には理解されていない。
・文化遺産と自然遺産の評価が縦割りなため(それぞれ別々の機関が審査している)、人と自然との関わりを評価が難しい?→評価システムそのものの再検討が必要
ふたつめの事項は前回の記事でも、述べられてましたね。
感想
世界遺産条約の発足当初から「遺産のインフラ」が懸念されていたものの、結局2019年の今現在までずるずると引きずり(強制的な制約を設けながらも、根本的な解決には至らなかった)、そして今も新たな課題が多く生まれている状況に、何とか打開できる新しい概念や提言の必要性を感じました。
また、世界遺産のブランド以外の価値や保護の重要性の認知については、多くの人が世界遺産条約の理念を広く流布させることが、問題の解決に繋がると思います。それこそ、今私が勉強している世界遺産検定なんかは、世界遺産の起源について軽くでありながらも、知ることができる玄関口ですので、非常に有効ですね。
あとは、義務教育や高等教育の過程で世界遺産のことを勉強できる機会を設けるとかも可能であれば、実行すべきです。私も世界遺産の授業を大学で履修し、増え続ける登録数についてディスカッションをし、強い関心を抱きました。世界遺産のことを学ばせる際は、TBSのTHE・世界遺産のような、世界遺産をただ紹介するようなことはせず、世界遺産そのものの理念や問題点等、基礎知識を教えるべきことが重要だと思います。
以上、私なりの感想を長々とお話ししました。お読みいただき有難うございました。