Yu's Tea Room

マイペースに日常の出来事を語るブログです。読んだ書籍も紹介しています!

【レビュー】世界遺産を問い直す②

前紹介した書籍で、①→③の順番で書いちゃったので補完の②を載せます。

 

rissho-blog.hatenablog.com

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屋久

屋久島の歴史

 

・IUCNが勧告した改善点(1992年, 1997年)

→日本の隠蔽(境界線の変更)→拡張すべき

 

・人間との関わり(地元の人々の対策と頑張り)

IUCNの自然の評価ばかりが目立つが、人との関わりも重要。

例:①伝統行事の再興

  ②里巡りツアー

  ③検定などの屋久島学

 

知床

知床が推薦されるまでの経緯
  1. 登録のためには、他の諸外国の遺産と差別化しなければならない。
  2. 流水によってもたらされる生物の多様性を"知床"の価値として推薦。
  3. 自然美は欧米などのものさしでは異なる場合がある。

 

世界自然遺産に登録されるも、IUCNや世界遺産委員会から様々なリクエストが届く。知床の保護している自治体は、適宜これらの要求をパスしている。

 

→これらのやり取り・やり方を知床方式と呼ぶ。

 

キーワード:エコツーリズム

 

知床と人

・大正昭和では、知床地域から人々が離農し、厳しい生活環境であったが、1960年代を契機に注目され国立公園に指定される。

その後、多くの人の努力を経て、開発も防いだこともあり、晴れて世界遺産に。

 

・2014年には羅臼町で知床と人が紡いだ文化を再確認する目的で、昆布漁のエコツアーを開催。

 

世界遺産平和公園として、知床と北方領土を登録することによって、領土問題と生態系(北方領土)を保護・解決できるのではないか...?

 

小笠原諸島

小笠原諸島の価値

・海から大陸が生まれてくる過程を示す(ⅹ)

 

・適応放散による多くの絶滅危惧種の固有種が存在(その数が少ないということで世界遺産の評価ⅹに登録されている。現在進行形で研究が続いている)

 

外来種問題

終戦後、アメリカに占拠され、返還されるまでに外来種が侵入。一時は危機に陥る。

例:グリーン・アノール

 

・ノネコ対策は他の地域のモデルとなるような取り組みを見せる。

 

小笠原諸島と日本人の歴史は、江戸時代からと短いが、今から140年前でも多くの種が絶滅している。

 

外来種やインフラ問題など、深刻な姿勢で取り組むことが重要。

 

奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島

評価価値

生物多様性

ユニークな亜熱帯雨林と生態系の連続性。

 

奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島琉球地域に属していたこともあり、日本と中国、台湾の文化が混ざりあっている。

 

登録されるまでの経緯

・2017年にIUCNから登録延期の通達。

→遺産そのものの課題と誤解によるもの

 

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・島独自の踊りも行われており、自然との関わりが深い。

・シマ遺産を再認識。

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これで、「世界遺産を問い直す」のレビューは正式に終了します。

世界遺産を問い直す (ヤマケイ新書)

次回はこの本を紹介する予定です。

世界文化遺産の思想

【レビュー】世界遺産―理想と現実のはざまで(著中村俊介)②

前回の記事はこちら

rissho-blog.hatenablog.com

 

対馬から韓国国内へ盗まれた仏像

・この事件を取り扱った韓国地裁の判決が話題に。

→韓国地裁の裁判官は、盗まれた文化財は中世のときに、倭寇(大雑把にいうと日本側)に盗まれたものだから返還する必要はないとの判決を下したのだ!

 

しかし...

元々「倭寇」が盗んだ代物なのか。そもそも盗まれた時期は正しいのか。

様々な時代考証が必要な事象なだけに、現代の司法で、過去の不確定な歴史を見抜けることはできない。

 

こういった時代錯誤の問題が絡む文化財の帰属はどうなるのだろうか...

 

・博物館や美術館等でも上記の問題性を孕んでいる。

文化財を故郷に返す意見は最もである。...が、所蔵していた遺物を博物館や美術館が失うことによって影響するデメリットも鑑みねばならない。

 

無形文化遺産

無形文化遺産世界遺産の最大の違いは"Outstanding Universal Value"(日本語訳は顕著な普遍的価値)の有無である。

 

世界遺産と同様に、無形文化遺産にも諸々の問題も発生しつつある。

→例えば、登録件数の拡大(対策として登録上限を設けている)と、無形文化遺産の審査による業務量の拡大である。

 

・地域の変容によって、無形文化遺産が無くなる可能性がある!?

(例:トシドン、ボゼ、パーントゥ

例に挙げたものは、どれも日本の信仰行事です。興味のある方は調べてみて下さい。

 

なぜ無くなりそうなのか...原因としては様々である。

①担い手の減少

②地域の過疎化

少子化

④ライフスタイルや価値観の変化

 

潜伏キリシタン関連遺跡は、長い道のりを経て、世界遺産に登録された。

 

世界遺産登録のため、(諮問機関や世界遺産委員会に伝わりやすい)分かりやすいストーリーを作るために、「かくれ」キリシタンに関する遺産を除外して推薦。

→「かくれ」キリシタンに関する歴史(項目)は重要なだけに、世界遺産登録のために切り捨てるようでは、世界遺産制度はデメリットでしかない。

 

・400年続いてきた潜伏キリシタンたちの風習も時代の流れとともに、綻びが見え始めている。(例:生月島

 

世界の記憶

・世界の記憶は、ユネスコの一事業で、国際条約ではないため、その権威は世界遺産無形文化遺産に比べて低い。

 

山本作兵衛の炭鉱史料が、初めて日本で最初の世界の記憶に登録されたことによって、国内でもその知名度の広がりを見せた。

 

・この"世界の記憶"事業も国単位による政治的恣意が絡んでしまう。

例えば、日本の地方自治体が推薦した日本の特攻隊史料(特攻隊兵士の遺物)は中韓から「戦争の美化」だと非難された。一方、中国が推薦して一度は登録された、南京大虐殺に関しては、日本側が猛反発する事態に。

 

・一方、地方単位の推薦では良い結果を生んでいる事例もある。

→日本のNPOと韓国の文化財団が協力し、様々な国情や歴史認識を乗り越えて、朝鮮通信使史料が世界の記憶に登録された。このような取り組みこそが、模範的な姿ではないかと筆者。

 

水中文化遺産保護条約

・韓国や中国では、水中遺産の調査機関が成果を出している。日本はその調査機関に該当する組織がない。さらに、水中遺産については知名度も低い。

しかし、鷹島沈没船の発見によって海底遺跡に対する話題を呼ぶ。

 

終章

世界遺産条約批准に日本が遅れた一説として、文化財保護法など、既に優れたシステムが確立されていたことが有力。世界遺産条約批准後は、日本の保護体制が世界遺産に段々引きずられるようになったと筆者。

 

・文化的景観は日本と世界でそのニュアンスが異なる。

 

面で保護するようなった現在の世界遺産の風潮では、文化庁のみで対応することは難しくなってきた。実際、明治産業革命遺産は、稼働中の遺産もあったことから、内閣官房が登録を主導していた。

 

世界遺産の中継地点である「日本遺産」の誕生。

・保護は保存に活用の要素が加わったもの。

 

・日本が世界に新しい文化財システムの見本を提示すべきではないだろうか!

 

感想

2回にわたり本書を紹介してきましたが、様々なトピックスから文化財保護の問題点を紹介してくれる本でした。

ユネスコの事業は、世界遺産が最大の成功とも言えますが、実際問題今は色々な問題が起きていますよね。それは、無形文化遺産や世界の記憶でもそうで、何かしら問題が発生してしまうのは、辛いですね。

日本もその問題を引き起こしてしまっていた当事者なわけですが、これからは文化財保護のグローバルスタンダードとして、世界を引っ張って行ってほしいですね!

世界遺産の「事前評価」導入へー導入の背景は?影響はいかに?

こんにちは。ゆうです。

実は先日、このような記事を見つけました。

 

www.jiji.com

どうやら、この前の世界遺産委員会で、各国が世界遺産登録の推薦書を提出する前に「事前評価」なるものを取り入れるそうです。

 

これについて、詳しく見ていきましょう。

「事前評価」の背景

記事を見てみると、どうやら諮問機関と世界遺産委員会の間に生じていた評価の食い違い、つまり逆転登録を防ぐためらしいです。

 

これに関しては、当ブログをご覧になっている方はお分かりだと思いますが、前々から逆転登録については、ユネスコの喫緊の課題になっていました。

 

どうやら、この前の世界遺産委員会でついに本腰を上げたようですね。

 

ポイントは、

  1. 評価を行うのは諮問機関であるということ
  2. 事前評価の諸費用は自国が払う

この2点かと思います。

 

驚くべきは、その1件あたりの審査の値段。なんと230万らしいです。(構成資産により変動)

これを高いか安いかどうかは、人それぞれだと思いますが、学生である自分から見てこれは高いと感じました(笑)

 

世界遺産基金が不足していることからも分かる通り、この財源負担は致し方ないと思っています。

 

財政力の弱い国には配慮がされるとのことですが、この「配慮」がどこまで許されるかが問題ですよね。

 

流石にその財政力の弱い国を一々サポートするわけにもいかないですし、そんなことをしたら諮問機関側もさらに疲弊してしまう...贔屓するわけにもいかないですし、ここは本当に微妙な線引きではあります。

 

そして、諮問機関側が事前評価をするということについて。つまりは、

 

諮問機関の評価→諮問機関の評価→世界遺産委員会の評価

 

というプロセスになるわけですが、果たしてこれで本当に逆転登録の事態を防げるかどうか。記事にもあったように、評価側との対話を増やすことは確かに有効です。

 

しかし、これが直接的に課題の解決につながるかどうかは分かりません。

 

今回の決定が果たして正しかったか否かは5年か10年後かの未来でないと、評価はできないでしょう。

 

ただ、ひとつだけ言えることは、こうして世界遺産委員会で課題の解決に乗り上げようと努力し始めたことは大きな意義があると思います。

 

他にも世界遺産が抱える問題は数えきれないです。

 

こうして来年も、積極的に諸問題について、任期がある21の国が話し合っていただきたいと思います。

 

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世界遺産年報2013~2016年まで一気読みした!

こんにちは。

 

最近地元の図書館で世界遺産年報2013年~2016年まで借りて、一気読みしたので、年度ごとの読んだ概要&感想などを綴りたいと思います!

 

2013年

世界遺産 年報2013 (アサヒオリジナル)

 

・2013年の頃から、危機遺産リストに登録されることを「恥」とする考え方や、諮問機関の評価が容易に覆される状況が起きていた。

 

・しかも、当時の世界遺産委員会議長国のロシアが「(各国の事情もあるから)危機遺産リストへの登録は慎重でなければならない」という趣旨の発言をした!

 

日本ユネスコ協会連盟カンボジアのアンコール遺跡の修復作業に協力している。否、多くの国が協力体制を敷いて修復作業に尽力している。

 

・元々、アンコール遺跡は2004年まで危機遺産リストに登録されていた。かつての内戦で遺跡は疲弊し、貧しい人々が一部の文化財を盗み、売り払う事態にまでなっていた!

 

2014年

世界遺産年報 2014 (アサヒオリジナル)

 

・富士山が世界文化遺産に登録。

 

世界遺産委員会では、インドの提言により、申請国が審議中に発言できる機会が増えた。(今までは、推薦を行っていた申請国は世界遺産委員会の審議中は発言ができなかった)

 

・これは、見た目からは顕著な普遍的価値が分かりづらい遺産が増えてきたことが原因(つまり、世界遺産登録物件のインフレ化)で、諮問機関と世界遺産委員会との対話不足も課題である。

 

・アンコール遺跡では、地元のカンボジア人が修復作業の担い手として奮闘。上の者が教育し、自国の遺産を守っていくことことが重要である。また、どうやら地元の人たち自身、自国の文化等について学校であまり教わらないらしい。

 

2015年

世界遺産年報2015 (講談社 MOOK)

 

富岡製糸場と関連遺産群が世界文化遺産に。

 

・同じく世界遺産に登録されたシルクロード跡地には、日本の協力が密接に関わっている。シルクロードは古代日本にも渡るので、最終的には登録範囲を伸ばし、日本の登録も目指すという。

 

世界遺産以外のユネスコの事業4つ「無形文化遺産」「ユネスコエコパーク」「ユネスコ記憶遺産」「創造都市ネットワーク」

 

世界遺産委員会では環境保全NGOが、政治的働きかけが起きないように、運動を行った。

 

2016年

世界遺産年報2016 (講談社 MOOK)

 

明治日本の産業革命遺産群が世界文化遺産に登録。

 

・2015年は、ネパールのカトマンズの谷が地震によって甚大な被害を被ったり、ISによるベル神殿の破壊など、度重なる災厄の年であった。

 

・ISの破壊に対しては、ユネスコフェイスブックなどSNSを駆使し、「#Unite4 heritage」のキャンペーンを行っている。

 

世界遺産条約履行のための作業指針が改訂され、アップストリーム・プロセスが制度化された。これは世界遺産センターや諮問機関が世界遺産の推薦書の作成に対して、技術的な支援を行うというものだ。

 

発展途上国などは、世界遺産の推薦書を書くのがなかなか度し難いため、この制度を試験的に実施し成果を一定の収めたことから、導入されるに至った。

 

感想

なんというか、世界遺産の不均衡が生じている原因について、締約国そのものに問題があるように感じました。何というか、不均衡が起きるのは必然と言うか...

 

発展途上国や貧困国っていうのは、文化財を保護するための法体制というのが完璧ではないんですよ。現に、先進国でも諮問機関から条件付けられるくらいですし。

 

これじゃあ、世界遺産委員会で審議される前の諮問機関による調査の段階で、ドロップアウトしますよね。

 

そのような事実がありながら、グローバル・ストラテジーがあるなんて...正直言って非現実的ですよ。だから、前にも記事に載せていた「逆転登録」が乱発なんかが起きるわけです。

 

それに、仮にお情けで登録されたとしても、法体制や保存状況が完璧でないのなら、すぐ危機遺産リストに登録されるのがオチですよ。今は世界遺産基金のお金が圧倒的に足りていないのだから、これでは本末転倒な気がします。

 

しかし、今回制度化されたアップストリーム・プロセスは非常に有効な気がしますよね。

 

申請したい、でも推薦書の書き方は分からない。「私の遺産は人類に伝えたい素晴らしいものなんだ!」...そんな、熱意のある国に対してその後の政策は置いといて、今は手を差し伸べてあげる。そんな思いやりの姿勢が重要なのではないでしょうか。

 

将来は、世界遺産登録後も法体制についての提言や解決策を各国で考えていけると理想ですね。

 

昨今も危機遺産は多いですが、リストから全て無くなるときこそ真の平和な時代といえるのではないしょうか!?

【レビュー】世界遺産―理想と現実のはざまで(著中村俊介)①

アフガニスタンタリバンによるバーミヤンの仏像破壊

文化財の闇取引も存在する。

・浮上する大仏再建論。

 

最近の世界遺産は...

・近年は「条件付き」で登録されるケースが多い。

→これは、膨張し続けている登録件数に対する、審査の厳格化が反映されている。

 

・奈良文書が採択されても、価値観の違いはまだまだ根深い(宗像・沖ノ島で後述)

 

・イコモスの「一発勝負」の評価に不満を持つ、(行政等に従事する)人々も多く、イコモス側もそれを自覚している。

そのため、最近は関係締約国との意見交換を実施する「対話」や「中間報告」といったやり方も行われている(しかし、実際の効果は未だに未知数)

 

世界遺産」に熱い日本

・暫定リスト記載物件を募った公募が契機と思われる。

 

しかし...

これが自治体の競争意識を生む引き金になる(後述)

・遺産の乱立がインフレを引き起こし、価値や位置づけを曖昧にする。

 

公募制の限界

自治体間で明暗が分かれる非情な世界。

 

→例えば、シリアル・ノミネーションで登録を目指したが、委員会から除外の「条件付き」が出た場合等。

 

※シリアル・ノミネーションのストーリー付けは、どこかで線引きが必要で、そこで外された自治体はやり切れない。

 

また、トランスバウンダリー・サイトに関して、日本から外国へ登録を呼びかける体制がない(外務省を跨ぐ必要性があるため、つまり縦割りの障害)

 

・現在の日本は、文化財ヒエラルキーが形成されている。

 

・IUCNはイコモスに比べて、財政基盤があり、真摯な評価が担保されている。

 

宗像・沖ノ島の評価

・登録に際して、本体以外を構成遺産から外せと勧告を受ける。

→つまり、宗像神の三姉妹の分断を表す。

 

これは、切っても切り離せない関係にあるが....

 

・近年は審査が厳格化し、無形要素を考慮しなければ、遺産の本質を理解できない例が増えている。

 

・異文化バックグラウンドの多様性の理解がこれから益々重要になる。

 

最近の世界遺産の問題点

  • 登録件数

遺産の価値が問題視されているが、その他にも、多くなればなるほど、保全資金の確保が難しくなるという側面もある。

 

  • 地域性

地域の推薦遺産になればなるほど、専門家の数が少なくなり、評価が難しくなる。

 

  • 開発と利便性

利便をとるか、世界遺産をとるか。これに関しては、抹消された世界遺産が2件あるので、それを参照してください。

 

  • 地域偏重

グローバル・ストラテジーや奈良文書は土や木の文化を認め、柔軟な姿勢を促すメリットもあったが、これらは政治的な思惑もあったことを忘れてはいけない。

→つまり、南米やアジア、アフリカへの登録を勧める事につながる。これは国内保護制度が整備されていない国もあるかもしれないのに、遺産の乱発をしてしまう恐れがあった。

 

文化的景観とシリアル・ノミネーション

・非常に便利な概念なだけに、(言い方は悪いが)理屈が良ければまかり通ってしまう危険性がある。

 

・シリアル・ノミネーションは、個々の資産の特性と地域性が希薄になる。さらに、登録に当たって、自治体などの政治的恣意に左右される場合もある。

 

危機遺産リストへの忌避

危機遺産リストに登録されることが一国の恥だと思われている節がある。

 

ジョージアのバグラディ大聖堂とゲラディ大聖堂は危機遺産リストに登録されていたが、片方の遺産(バグラディ大聖堂)を構成遺産から除外することによって危機遺産リストから脱した。

 

...果たしてこのような方法で良いのであろうか?

もし、下手な「修復」が施されたりした場合は...

そもそも、危機遺産リストに登録された理由が好ましくない「修復方法」を行っていたかららしく、なぜそのような体制がとられていたかに疑問が残る。

 

産業革命遺産

・日韓の政治争いが繰り広げられた悪い例。

 

・登録に向けての推進体制は前例にないもので、外部の専門家を招かれた。

 

(上記のメリット)不慣れな分野を知見が豊富な専門家が携われること。

(上記のデメリット)外国人に主導権を握られる可能性がある。

 

世界遺産条約は国際条約なので、政治的介入は避けられない場合がある。しかし、政治課題を第三国を巻き込んで、醜態を晒すことは許されない。

 

...今日はこの辺にします。次回で〆まーす。

世界遺産: 理想と現実のはざまで (岩波新書)

紹介した本はこちらです

 

 

 

 

【レビュー】世界遺産条約の課題とこれからの遺産アプローチ(稲葉信子先生)

世界遺産条約以外の国際的な「遺産」ブランドの広がり

文化遺産なら、世界記憶遺産・無形文化遺産

 自然遺産なら、ユネスコエコパーク世界ジオパークネットワーク、世界重要農業生産システムなど...

 

上記の制度は、それぞれ相互に補完している一部に過ぎないが、世界遺産のみが全てのブランドの受け皿になっているよう思える。

 

※保存は保護の下位概念

 

文化的景観の概念の変化

文化的景観は世界遺産が生まれてから、既に早い段階で構想が練られていた。

 

一応、文化的景観は文化遺産のカテゴリーに分類されるが、今現在では世界遺産のアプローチになっていると筆者。

 

文化遺産の概念は点(昔)から面(今)に変化しており、地域そのものが保護の対象になったりしている。

 

先進国では、そういった地域そのものを保護する政策も作られている。(因みに、日本も「歴史文化構想」とこれに準ずる政策が存在する)

 

このように、文化的景観は遺産の次世代概念として広まっている。(しかし、あまりに流布しすぎて様々な意味合いが混同しつつあるのが現状で、改めて再確認が必要だ)

 

余談だが、文化的景観の成功を受けて、歴史的都市景観というものも生まれている。

 

世界遺産条約の課題

世界遺産の審査は、「価値」と「保護のレベル」の両面から、判断されるものだが、世界遺産のブランドのみを求めている人々には理解されていない。

 

文化遺産と自然遺産の評価が縦割りなため(それぞれ別々の機関が審査している)、人と自然との関わりを評価が難しい?→評価システムそのものの再検討が必要

 

ふたつめの事項は前回の記事でも、述べられてましたね。

 

rissho-blog.hatenablog.com

 

感想

世界遺産条約の発足当初から「遺産のインフラ」が懸念されていたものの、結局2019年の今現在までずるずると引きずり(強制的な制約を設けながらも、根本的な解決には至らなかった)、そして今も新たな課題が多く生まれている状況に、何とか打開できる新しい概念や提言の必要性を感じました。

 

また、世界遺産のブランド以外の価値や保護の重要性の認知については、多くの人が世界遺産条約の理念を広く流布させることが、問題の解決に繋がると思います。それこそ、今私が勉強している世界遺産検定なんかは、世界遺産の起源について軽くでありながらも、知ることができる玄関口ですので、非常に有効ですね。

 

あとは、義務教育や高等教育の過程で世界遺産のことを勉強できる機会を設けるとかも可能であれば、実行すべきです。私も世界遺産の授業を大学で履修し、増え続ける登録数についてディスカッションをし、強い関心を抱きました。世界遺産のことを学ばせる際は、TBSのTHE・世界遺産のような、世界遺産をただ紹介するようなことはせず、世界遺産そのものの理念や問題点等、基礎知識を教えるべきことが重要だと思います。

 

以上、私なりの感想を長々とお話ししました。お読みいただき有難うございました。

 

アジアの文化遺産:過去・現在・未来 (東アジア研究所講座)

【レビュー】世界遺産を問い直す―富士山・紀伊山地と世界遺産条約の課題―③

 

世界遺産を問い直す (ヤマケイ新書)

世界遺産を問い直す (ヤマケイ新書)

 

 富士山と紀伊山地

上の二つは文化遺産として世界遺産リストに登録されています。

 

富士山は2013年に登録されているものなので、記憶に新しい方もいるかと思います。

 

ただ、なぜこれらは文化遺産として登録されているんでしょうか...?

 

普通は自然遺産な気がしなくはないですよね?

 

実際、富士山なんかは当初自然遺産としての登録を目指していたようです。(しかし自然遺産として登録するには、あまりに課題が多すぎた)

 

このふたつの遺産の歴史を振り返ると、やはり自然と人間の間にある深い関係があります。

 

つまり、自然ある所に文化あり

 

富士山も紀伊山地も人間の文明が生まれる前から、今の姿が形成されており、時代時代毎にその都度、人と密接に関わってきました。

 

そのどう関わってきた~ってことが文化遺産の評価基準として認められているんですよね。(熊野詣とか葛飾北斎が描いた浮世絵とかね)

 

その根幹にあるのは、自然に対する畏敬の念とのこと。

 

著者は、そんな自然と深くかかわってきたことを切り捨て、文化遺産の面だけを評価することに疑問を抱いていました。

 

世界遺産条約の問題点

世界遺産っていうのは、世界190カ国以上の国で結ばれている世界遺産条約に基づいて決められています。

 

が、近年はその世界遺産条約が破綻の危機を迎えているそうな...

 

それは世界遺産登録の過程に内包する矛盾点が原因なのです。

 

世界遺産登録には、まず諮問機関(文化遺産ならイコモス、自然遺産ならIUCN)が推薦された調査し、世界遺産に登録がふさわしいかどうかを判断します。

 

その後、その調査をもとに数カ国で構成される(交代制)世界遺産委員会にて改めて判断、登録か不登録などの勧告を行います。

 

...と文面に書き起こすだけなら、シンプルなんですがこのやり方が問題ありなんです。

 

今、世界遺産っていうのは登録件数が多くなりすぎて世界遺産の価値そのものの信頼性が揺らいできています。

 

そのため、グローバル・ストラテジーという考え方が決められています。

 

これは世界遺産の登録の不均衡をなくそう!(現在、ヨーロッパや北米等に偏りまくっている)というもので、世界遺産の登録件数が少ない国に積極的に登録を促しています。

 

しかーし!ここに矛盾点が。

 

諮問機関のIUCNやイコモスの段階で、「これは世界遺産として登録するためには改善点がある」と結論付けていたのに、

 

②その後の、世界遺産員会では「よし、登録!」と前段階と逆の結果になる逆転登録が頻発!(超要約)

 

なんでこんなこと起きるの~っていうと、さっき説明したグローバル・ストラテジーが背景にあるんですよ。

 

つまり、専門機関に基づいた評価と、グローバル・ストラテジーに基づいた世界遺産委員会の評価のやり方に齟齬が生じてしまっているんです。

 

こうなってくると、もう世界遺産の登録プロセス自体に問題があるように思います。

 

もう一つ深刻な問題が、世界遺産委員会登録の場が、政治の影響を受けてしまっていることです。

 

委員国が自国の遺産に対して、都合のいいように働きかける等。

 

他にも危機にある遺産に対して使われる世界遺産基金(要は義援金)が不足しまくってるとか...

 

どこかで世界遺産の当事者たちがこのことに対して、真剣に考える機会が必要ですね。

 

日本の世界遺産問題

3つあります

  1. 世界自然遺産の海域への拡張
  2. 評価基準8の自然遺産がない
  3. 複合遺産がない

 

もう1500字くらい書いて疲れたので、今日はこの辺にします。

アディオス!