カナダの先住民族たちによる主張
2018年の世界遺産委員会で、カナダのピマチョイン・アキという複合遺産の登録が決まった。
→この遺産は、以前から審議の対象であった。ピマチョイン・アキに関わる先住民たちは「私たちと自然の共生を評価してほしい(複合遺産として)」と主張し、これが認められた。
キーワード:コネクティング・プラクティス
実は、この文化と自然の関係性による評価は今までに前例がなかった。
世界遺産への登録基準がそもそも、文化と自然でそれぞれ別の機関(文化遺産はイコモス、自然遺産はIUCN)が評価していることが大きな原因である。
そのため既に1,100件以上存在する世界遺産だが、複合遺産はたったの38件?くらいしかない。
浮き彫りになった問題点
①複合遺産の評価プロセス。文化遺産と自然遺産の基準を同時に満たす、という考え方そのものを変えなければならない。
②世界遺産条約締約国からの推薦プロセス。文化遺産と自然遺産を別々の省が管理している国が多い(日本もそう)ため、複合遺産が生まれにくい。
白神山地
白神山地は日本で最初に登録された自然遺産のひとつであるが、人間と密接に「共生」してきた遺産である。
というのも、世界遺産登録への経緯についてであるが、これは人が白神山地を守るため、世界遺産という枠組みに組み込むことで、保護しようと考えたことが始まりなのである。(当時は青秋林道が作られるか否かの最中であった)
白神山地は世界最大のブナ林ということが誇張されているが、実際は違う。
実際に評価すべき点は、地域住民と築き上げてきたブナ帯文化であり、人間との「共生」なのである。
次回は、屋久島についてなどです。